5月17、18日に、大阪で日本アンチエイジング歯科学会 第9回学術大会がありました。
「アンチエイジング」という言葉に、興味があり反応する人も多いと思います。私も、40歳になりこの言葉が気になり始め、行ってきました。
色々な講演があり、どれも興味を惹かれるものでした。中でも印象深かったものが3つありました。
「ズバリ!12歳若返る!」 真織 由季先生
講師は、元宝塚歌劇団の真織 由季先生で、主としてストレスに関する内容でした。今年で47歳ということでしたが、どう見ても30代前半にしか見えず、とても若々しい方でした。
概要
ストレスは私たちが生きていく上で必要なものではあるが、溜まり 過ぎると脳が疲労する。ストレスを軽減ためには、「動く」ことが有効。
ストレスを栄養に出来るタイプは、よく動いてポジティブ、一方、毒にするタイプは、あまり動かず、ネガティブ。
長時間(11時間以上)、椅子に座りっぱなしも良くない。
ストレス状態を引き起こす原因を「ストレッサー」といい、悪いことだけではなく、良いことや嬉しいこともストレッサーとなり、身体は同様の刺激を受けることになる。(心拍、血圧、呼吸数の上昇、毛細血管の収縮といった、交感神経の働きが優位になる)
「気分転換にカラオケに行こう」
など、脳が疲労している人の気分転換はNGであり、ストレスを軽減するためには、副交感神経の働きを高めるようにすることが 大切である。睡眠でストレスは解消されない。
また、集団欲(安心感、保護感)の欠如もストレスとなるので、スキンシップをはかり、人の役に立っている、又は必要とされているなどの「集団欲の充足」も必要となる。
スキンシップは、人に触れる時に出る「オキシトシン」というホルモンで、触れる人、触れられる人の両方とも幸せな気持ちになれる。
・じっとしていると老ける
・ストレスを軽減するためには動く
・歩くときは大またで歩く
・集団欲の充足
ということを意識して、日常生活を送ってみようと思います。
横浜クリニック院長の、青木 晃先生の講演は、「抗加齢医学における内科的ア ンチエイジングの実際」というテーマでした。
内科的アンチエイジングの基本は、「食」、「運動」で、フェイスブックやツイッターなど、ITコンテンツを利用し、生活における意識を共有し、食、運動を中心とした日々の生活で、アンチエイジングにシフトしていくことを狙っているというのがおもしろいと思いました。
必要があればサプリメントを利用することもあり、医師の処方箋が必要なサプリメントもあるそうです。又、高品質のサプリメントでないと、意味がないそうです。
アルファ 片野
日本アンチエイジング歯科学会(JSDA)
第9回学術大会体験レポート
開催日 2014/5/17~18
会場 グランフロント大阪 ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター
受講講座
5/17 「ズバリ!12歳若返る!」「加齢による体形変化の実態」「審美歯科は顔の若返りにどう役立つか」
5/18 「抗加齢医学における内科的アンチエイジングの実態」「アンチエイジング食と消化吸収」
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ズバリ!12歳若返る!
講師 真織由季
話題のアニメーション映画「アナと雪の女王」を題材にストレスコントロールの行い方を解説
ストレスとは脳の疲労のことである。ストレスを引き起こす原因(ストレッサー)の刺激により生まれた歪みのことを言い、悪い者のイメージが強いがストレスは栄養にすることもできるものである。そこに個人の性格は関係ない。
ストレスを栄養にするには
・考えるよりも行動
・大股で動く(腰から歩くナンバ歩き) 脳の血流ができるので記憶作業などは捗る
・言葉のパワー 肯定的な言葉を使う
ストレスを毒にするタイプ
・物事に対して否定的
・遊ぶ時も動かない
ストレッサーの内容として「嬉しいこと」「嫌なこと」の両方ともに脳を刺激し、興奮状態を引き起こす。内容にかかわらず体は同じ反応を起こすということであり、これを繰り返すと脳の疲労に繋がる。
したがって疲労している時に気分転換の旅行に行ったりすることはあまり好ましくなく疲れている人が最優先すべきことは副交感神経の働きを高めることである。
そのためには代謝を上げないように注意が必要になってくる。この場合抗動筋(前脛骨筋、大腿四頭筋、腹筋群、頚部屈筋群、下腿三頭筋ハムストリングス大殿筋、脊柱起立筋群)を使うとよい
筋肉応用覚醒伸展法(ホメオストレッチ)
◆2人で行う場合
1:一人が椅子に座り、もう一人はその背後に立ち肩に手をふわっと2秒置く
2:5秒かけてそのまま4~7Kgの力で押す
3:固定時間5秒
4:2秒かけて開放する
5:10回繰り返す
ホメオストレッチは脳の緊張を解き、触れられる時(触れる時)にしか出ないホルモンが分泌される。
人間の基礎欲として集団欲というのがあり、それは安心感、保護感に繋がりスキンシップすることで満たされる。
人に必要とされている自覚が大切である。
まとめ
ストレスコントロールには・・・
1抗動筋を使って副交感神経を優位に立たせる
2集団欲の充足
・身体→スキンシップ
・心→人の役に立つ、人を理解する
3自己受容
・人生に無駄はないという考え方
補足
セリエの幸福論
1目法を持つ
2人の役に立つこと
3ストレスをコントロールすること
ハーハントの幸福論
1必要とされること
2誰かを幸せにすること
3自分の力で何かすること
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加齢による体形変化の実態
講師 篠崎 彰大
株式会社ワコール人間化学研究所が1964~2009年に至る45年間継続してきた人体計測に参加した成人女子のべ4万人の計測データを基に、体形変化の流れを解説し変化を最小限に抑えるための下着の選び方や生活習慣について
下着から始める身体のエイジングケア
◆バストについて
1. 10代で成長したからだは、20代後半で最も引き締まる。
2. 30代以降は、ずっと周径が太くなっていく。
3. ウエストとおなかの変化が最も大きく、50歳を過ぎると腹部はバストと同じ太さになる傾向に。
一方、25年間(20代後半~50代前半)での体重の変化は5kg程度。加齢によって単に太るのではなく、からだの「かたち」が変わっていくということがわかった。同時に、年齢による変化は個人差も非常に大きい。
◎加齢によるバストの形の変化
1加齢で変化していく順序は全員同じ
220代から下垂は始まっている
3いったん変化したら元には戻らない
変化の原因と考えられる3点
1加齢によるホルモンバランスの変化により、乳腺と脂質の構成比が変わりバストが柔らかくなっていく
2バスト自体にかかる重力と揺れなどによる外部刺激が長時間維持するとクーパー靭帯にストレスがかかり伸びてしまう
3加齢により皮膚の弾力性、柔軟性が低下し乳房を支える力が弱まる
◎今きれいになるためには
ブラジャー選びはサイズだけでなくかたちや柔らかさの変化も重要
採寸して同じサイズであっても、20代女性に合うブラジャーが40代女性に必ずしも合うわけでない。少し動いただけで、カップがパカパカ浮いたり、背中にくい込むなど使用時のズレが生まれることがある。これは、加齢によってバストのかたちややわらかさが変化したためである。
◎ずっときれいでいるためには
体形の変化は万人に同じ順序で起こることが分かったが、個人差は大きい。変化の少ない人の生活習慣からその秘訣を考察する
身体的特徴
1体脂肪が少ない
2持久力、筋力があり疲れにくい
3ぐっすり眠れている
4ストレスをうまく消化
5生活習慣病やその予備軍がいない
行動・意欲
運動:美しい姿勢や歩き方を心掛け、身体をよく動かすなどの活動的な日常を送っている
食事:暴飲暴食をせず規則正しい食生活
下着:身体の変化に合わせた下着を付けている
※加齢による体形変化を少なくする生活は「健康的であり、生き生きしていてとても楽しい」ということが分かった。
◆おなかについて
加齢によるおなかの変化について
1加齢で変化する順序は同じ
2変化が始まる年齢スピードは人によって大きく異なる
350代での個人差はすごく大きい
◆ヒップについて
◎加齢によるおなかの変化について
1加齢で変化していく順序は全員同じ
2変化が始まるスピードは人によって異なる
3いったん変化したら元には戻らない
◎ヒップの形の変化の原因とかんがえられるのは
筋肉が衰え筋膜がうすくなり結合組織も変化し組織同士の結合が弱くなる。つまり内部が緩むそして脂肪全体がずれ下がりヒップの形を変化させる。
◎日常生活でしかり歩く
い時の体型を維持している人は、一般的な変化した人よりも歩幅が広く、スピードが早く、姿勢が美しいといったしっかりとした歩き方をしており、さらに筋肉が若くしっかりしていました。美しいヒップを目指すために、筋肉をしっかり使いましょう。それには特別な運動より、毎日気軽に出来るウォーキングが最適。歩きをしっかりサポートする機能性ボトムをつけるとより効果的です。
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審美歯科は顔の若返りにどう役立つか
講師 Wynn Okuda
歯が黄色だと肌の色も黄色く見える→歯のホワイトニングにより肌色がピンクに見える
(但し、度を過ぎたホワイトニングは作り物感が増す)
老けないコツ
スマイルがポイント
歯の変化はどうして年を取って見えるか
1すり減る
2エナメル質が無くなる
3ヒビ
4着色
5歯肉の退縮
歯が年齢を取るといくら笑顔でも老けて見える
↓
歯を若返らせスマイルを若返らせる(バランスの取れた歯冠、バーティカルコンポーネント)
審美歯科の効果は1本谷で行うのではなく大きな範囲で行った方がインパクトが大きく心理的な効果も上がる
バランスを考える
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抗加齢医学における内科的案とエイジングの実践
講師 青木 晃
抗加齢医学→健康長寿を目指す医学
病気を治す医療ではなく病気にならないための医療であり対象は患者ではなく普通の健康な人である
アンチエイジング医学はまだ始まったばかりの医学で、エビデンスはほとんどないのが現状である。
自らがエビデンスとなり、その実践内容をSNSなどのITを使って楽しみながら広めていく。
アンチエイジングにおける重要なポイント
1:安価であること
2:誰もが継続しやすいこと
3:安全であること
内科のアンチエイジングは、内分泌・代謝の領域に大いに関係がある。ホルモンや自律神経は縁の下の力持ち、地味な存在で普段はあまり意識されないが長い時間かけて身体を調整してくれている。だから継続が重要である。
例え、劇的なアンチエイジング効果があったとしても、長期的に行ったら副作用や合併症が出たでは使えない
食事療法(サプリメント含む)
旬の自然のものをとる。
加工食品は出来るだけとらない
食事だけでは取れない栄養素はサプリメントで補う。良質なサプリメントの選び方はパッケージに記載されている1粒の重量から成分量を引いてのこりが添加物の量となる
運動療法
1日1万歩のウォーキング(任天堂DSのソフト「歩いてわかる生活リズムDS」で楽しみながらおこなう
精神療法(いきがい)
『幸福感は伝搬する』という説などから、フェイスブックやツイッターなどでリアルタイムで生活における意識を共有できる利点をを活かし共感をしてもらうことにより楽しく、食・運動を中心とした生活がアンチエイジングを広めていく。
薬物療法・特種医療
(ホルモン補充療法・キレーション療法・点滴療法・その他)
美容外科・美容皮膚科的医療
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アンチエイジング食と消化吸収
講師 川井 勇一
ヒトの体は食べたものでできていると言われているが、正しくは「食べて吸収されたものからできている」と言える。
◆蛋白質代謝回転と糖化
ヒトの体はたんぱく質でできているが、日々これらのたんぱく質は壊され(異化)新しく作りかえられて(同化)維持している。
老化とは異化が同化を超えてしまった場合をいう。また最近の研究では老化の要因として炎症、酸化にくわえて「糖化」がクローズアップされている。
糖化は砂糖や白米、小麦粉といった急激に血糖値をあげさせる高GI値(グリセミックインデックス)、高GL値(グリセミック負荷)食品の摂取が関係する。
摂取された糖は高血糖状態の維持などの条件下で蛋白質と反応して糖化蛋白となり、最終的にはAGE=最終糖化産物を作る。組織蛋白はAGE化という変性により蛋白本来機能を果たせなくなり、組織の老化を意味することとなる。またAGEは活性酸素の発生源ともなる。
現代日本人の栄養バランス
糖質61%
脂質25%
たんぱく質15% 1日に必要なたんぱく質の量 男700g 女 600g
※アンチエイジングには、ヒトの体のタンパク質は常に一定が望ましい
蛋白質の代謝回転を維持し、体蛋白の糖化を防ぐ高タンパク、低糖質食が日々のアンチエイジングに求められるものであり、そして蛋白質をはじめとする各栄養素の消化吸収力を維持する、すなわち口腔にはじまり胃、小腸、大腸に至る消化管の健全な状態を維持することがアンチエイジングに重要であるといえる。
自然にあるものを食べることがヒトの体に良い・・・特に旬のもは栄養価が高い
(野菜、フルーツ、ナッツ、魚、鶏、鹿、ココナッツ、オリーブオイルなどが良いとされ加工食品はNG)
アンチエイジングのための食生活
・蛋白質をしっかり摂る
・野菜、海藻など繊維質のものから食べ始める
・吸収の早い糖質を制限する
・リラックスして食べる(消化液をしっかり出すため)
・ゆくり噛んで食べる
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アンチエイジング歯科学術大会に参加しての感想
はじめて学会というものを体験させてもらいました。
「アンチエイジング」という女性にとっては大変興味をひく内容に歯科がどのようにかかわるのか興味があり受講を希望させてもらいました。
衛生士向けの講座が2日間で14講座開かれていたのですが、初めての参加ということもあり認定衛生士取得のための指定講座を中心に受講してみました。(学会員ではないので認定試験はうけられませんが)
内容的に歯科に特化したというよりは、メンタルであったり内科的なものであったりの総合的なアンチエイジングといったかんじで、最初思い描いていたものとは少し違いましたが、個人的には大変勉強になるものが多かったです。
ただ一番歯科に関係の深いであろう「審美歯科は若返りにどう役立つか」が日系のアメリカ人ドクターの講義で会場での同時翻訳はあるものの専門用語など英語のままだったこともあり私には理解が難しかったことが大変残念でした。
全体をとおしてアンチエイジングとは前向きな心、健康に対する日々の努力が必要ということを学びました。ある意味ぺリオメンテナンスと似ているのではないかという風にも思いました。アンチエイジングはまだまだ始まったばかりの医学なので今回の学会をきっかけに気軽に前向きに自分にできることははじめて行き、私も自分がアンチエイジングのエビデンスになれたらと思いました。
また、ふだんテレビで観るような有名なドクターの講義を受講できたり、間近に見ることができたりしてそれも楽しかったです。
以前恵生会に勤務されていたドクターに偶然お会いできたのもいい思い出になりました。
私にとってはとても内容の濃い2日間になりました。
オレンジ歯科 若嶋