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平成22年5月29日(土) ■抗菌薬の薬物動態と新型インフルエンザ

講師:塩野義製薬

今回は塩野義製薬の林良久様をお招きして、「抗菌薬の薬物動態」と「新型インフルエンザ」についての講義をして頂きました。現在、当院にても塩野義製薬から発売されている抗生物質であるフロモックスを投薬していることもあり、大変有意義な講義を拝聴させていただきました。以下に、今回の講義についての要約を拙いながらもまとめてみました。

(抗菌薬の薬物動態について)
抗菌薬に関して、今回の講義ではPK(薬物動態:薬物の投与量・投与法と生体内薬物濃度-時間推移の関係)とPD(薬力学:薬物濃度曝露と薬効濃度)を中心に話をしていただきました。PK、PDとは簡単に言うと、人間の体の中に細菌が侵入した際に、どのような薬をどのような投与量、投与法を行うと最大の効果を得ることができるかと考えるときの指標となるものです。
前文で出てきた、塩野義製薬から販売されているフロモックスに関しての、PK、PDに関しての説明もあり、フロモックスのようなβラクタム系の抗生物質は1回投与量を増やすよりは菌に適切に働く投与量で回数を増やしたほうが優れているとの説明がありました。普段から、そのような投薬方法をしてきましたが学術的なデータを見せて頂いたことで、自分の投薬により一層の自信を持つことができました。
また、抗生物質選択の基本については
1. 優れた抗菌薬のものを用いる
2. 適切な量を投与する
3. 処方した薬は必ず服用して貰うという信念に基づいた説明をする
4. 3日間あるいは4日間の服用完了日には再診する
とのことです。我々歯科医師がついつい見落としてしまうような抗生物質投与の基本を今回の林様の講義で再認識させて頂きました。

(新型インフルエンザについて)
昨年の新型インフルエンザのパンデミック(爆発的な流行)は、我々医療に関わる者としては記憶にも新しく、多くを学ばされる流行性の疾患でした。今回の講義ではそれらのおインフルエンザウィルスの特性、治療法、予防、ワクチンなどについてお話をして頂きました。以下にそれらの概略をまとめます

1. 特性
“インフルエンザウイルス”によって引きおこされる感染症です。
通常の季節性インフルエンザは、主に冬場に流行しますが、新型インフルエンザは夏場にも流行しています。
インフルエンザにかかると38℃以上の急な発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感などの全身症状が強くあらわれ、あわせてのどの痛み、鼻水、咳などの症状もみられます

2. 治療
抗ウイルス薬が基本で、昨年話題になったタミフル、リレンザ等がそれであり、塩野義製薬さんからも点滴用の抗インフルエンザ薬が認可されたそうです。血管に直接投与するので即効性が高く解熱作用に優れているとのことです。

3. 予防法
手洗い(接触感染予防)、マスク着用(飛沫感染予防)、うがい(口内洗浄)などを中心に、食事や生活リズム、慢性疾患のコントロールを行うことがリスクの低減につながるとのことです。

4. ワクチン
当初2回接種が必要と考えられていたが、健康成人、中高生、妊婦等における国内の研究において、1回接種で一定の抗体の上昇があり、2回目の接種を行っても抗体の変化はほとんどないことから、基本的には13歳未満の小児を除いては1回接種とされているそうです。
今回の講義において、 抗生物質の投与の基本となる考え方であるPK、PDに関して深く学ぶことができ、また、これから先も我々医療従事者が直面すべく問題である新型インフルエンザについて再考する良い機会となりました。また、塩野義製薬の林様には多くの科学的なデータ、資料を提示していただいて、今後の我々の治療にも自信を持つことができ、このような機会をつくっていただき、ありがとうございました。
山本 昭宏